小正月彩る「餅の花」 きょうナリムチ 奄美市

2024年01月14日

地域

手際よく、ブブ木に色とりどりの餅を付けていく女性=13日、奄美市名瀬

〇…14日は家内安全や五穀豊穣(ほうじょう)を祈る「ナリムチ」。奄美大島北部や徳之島の一部ではブブ木(リュウキュウエノキ)に白、赤、黄、緑の4色の餅を付け、玄関や床の間に飾る。仏壇や墓前にも供えられ、「餅の花」が華やぐ新春の風物詩。

 

〇…13日午前、奄美市名瀬井根町の中原商店にはブブ木や飾り用の餅、板付きの完成品などがずらりと並んだ。次々と買い物客が訪れ、同店の中原一成代表(73)は「13日が最も購入者が多い」と品出しや予約客への連絡に大忙し。店の後方からは「パチン、パチン」と、ナリムチ作りの女性たちがリズムよく餅に切れ込みを入れていく音が響く。コツは「包丁ではなくハサミを使い、なるべく細い枝にしっかり押すように餅を挟むこと」。

 

〇…小正月に木の枝に餅を付け飾る風習は「もち花」「繭玉」「みずき団子」など全国各地に残る。雪深い飛騨地方では冬に生花を入手することが難しかったことから、代わりに餅を付けたという。名瀬市街地にはカラフルな餅付きのブブ木を加え空高く舞うカラスの姿も。

 

〇…ナリムチは「正月送り」の18日に下ろされる。家によっては外した餅とサツマイモを混ぜて「ヒキャゲ」を作る。中原代表は「今はインテリアとして、しばらく飾って楽しむ人も多い」と笑顔で話した。